明るい人生

語学学習のために、二ヶ国語でブログを書いています。 This is a diary written in English and Japanese for learning.

夕暮れが怖い

十月が終わりろうとしている。
九月ごろまでは、夕暮れが待ち遠しかった。日差しが傾き、影が伸びていくのを見ると、やっと涼しくなってくれると思って嬉しかった。
明日からは十一月になる。
夕暮れ時になると、なんだか怖い。眼に映るどんな風景もへんに黄色になり、砂をまぶしたようなざらざらとした感じになる。風がとげとげしくなり、犬の吠え声や、バイクのエンジンの音などが、とても遠いところから聞こえてくるような気がする。自宅に居ながらにして、帰らなくては、帰らなくては、と、せき立てられ、追い立てられているような気持ちになる。
どこへ帰りたいのだろう。
春夏秋冬を人の一生に例えた話がある。春に生まれ、夏に育ち、秋に老いて、冬に死ぬという。そうだとしたら、歳をとるのが怖い理由も、なんとなくわかる。病気になるのが怖いのではない。力や美しさが失われるのが怖いのではない。身寄りがなくなっていくのが怖いのではない。歳をとるのが怖いのは、それが秋、夕暮れの季節だからだ。
木の葉が散っていく。仄暗い影が伸びてゆき、風はかつてのようには自分を慰撫してはくれず、強く強く吹き付けてくる。見上げた空には太陽がなく、その青さには水分というものがない。冷たい大気を呼吸すれば、まるで真空のような香りがする。
夕暮れが怖い。冬が来るまでは、私はきっと怖がっているだろう。